こんにちは、建築も好きなコトリス(@Kotori_fresh)です。
神戸市指定有形文化財・指定名勝である「旧乾邸」(旧乾家住宅)が、春の特別観覧で限定公開されます。
当記事では過去の旧乾邸特別観覧の様子をたっぷりレポートしています。観覧の予習としてご覧ください。
阪神間モダニズムを象徴する邸宅・旧乾邸(乾家住宅)の成り立ち
旧乾邸は、昭和11年頃、乾汽船株式会社を設立した乾新治氏の自宅として、旧住吉村(現在の東灘区の一部)の山麓部に建築されました。
設計者は建築の名手として名を馳せた渡邊節氏。洋風を基調としながら巧みに和洋を折衷し、重厚さの中に繊細なデザインを取り込んでいる旧乾邸は、渡邊氏の代表作とも言われています。
阪神間モダニズムを象徴する大邸宅の風格がよく伝わる主屋や土蔵、さらに当時の姿を残す庭園などは非常に貴重なものであり、門や塀も含め建物全体が神戸市指定有形文化財に、また、庭園も一部を除いて神戸市指定名勝となっています。
渡邊節は昭和の名建築家・村野藤吾の師匠にあたる人物。
渡邊が手がけた建築物で今も残るのは綿業会館、商船三井ビルディングなどの商業ビル。
旧乾邸は数少ない住宅建築の代表作と言われています。
阪神間の高級住宅地といえば芦屋を思い浮かべる人が多いと思いますが、旧乾邸のある住吉・御影エリアは芦屋より格上。
住友財閥、東洋紡績、野村銀行、武田薬品工業、日本生命など大企業の創業者や財界人の邸宅が並んでいます。
旧乾邸は映画やドラマのロケ地に使われています
旧乾邸はドラマや映画のロケ地としても使われています。
映画「日本のいちばん長い日」、「ミュージアム」、NHKの朝ドラ「べっぴんさん」、吉川晃司主演「探偵・由利麟太郎」など。知らず知らずのうちに目にしているかもしれませんね。
総工費20億の大邸宅・旧乾邸の特別観覧へ
阪急御影駅からゆるやかな坂を登って15分ほどで、ようやく旧乾邸の重厚な正門にたどり着きました。
年を取ったら登るのが辛い場所だと思ったんですが、大富豪はお抱えの運転手が車で送り迎えしてくれるから徒歩では登りませんよね……。
旧乾邸の総工費は40万。現在の価値に換算すると、20億円もの大金が掛けられています。
敷地は約1200坪、建築面積は約300坪。
そう言われてもピンとこないと思いますが、女中室などを含めて数え切れないほど部屋数があり家の中で迷子になってしまうほどでした。
玄関アプローチだけでもこれだけの規模……。
ボランティアガイドさんがくまなく見所を説明してくださったあとは、自由に見学できました。
渡邊節の代表作、旧乾邸の住居部分を見学
玄関ホール
階段室を兼ねた玄関ホール。
吹き抜け部分が高すぎて全景を撮れません。
ゲストルーム
ゲストルーム。
暖炉の上に飾られているのは神戸を代表する洋画家・小磯良平の絵。
巨大なシャンデリアが目立ちますが、暖炉に彫られた葡萄や階段のアイアンなどディテールも素敵でした。
葡萄はたくさんの実をつけることから豊穣の象徴とされています。旧乾邸ではいたるところに葡萄柄が施されていました。
サンルーム
ダンスホールとしても使われていた3階のサンルームからは神戸の山々と海を一望できます。
その他
2024年5月 特別観覧概要
【開催期間】 2024年5月23日(木曜)~5月29日(水曜)
【開催時間】(1)10:00~ (2)13:00~
【参加費】無料
【参加方法】往復はがきによる事前申し込み
申し込み期間:2024年3月21日(木曜)~同年4月10日(水曜)消印有効。抽選
※詳しくは神戸市HPをご参照ください