2度目の紀伊田辺で行きたかった喫茶店は駅から遠く離れている場所が多く、訪れるのが困難でした。
ひとつは街灯の少ない夜道を不安になりながら向かった、喫茶ビートル。
そしてもうひとつが、電動アシスト付きの自転車があってもくじけそうになる急勾配の坂道の先にある、喫茶エンゼルです。
レンタサイクルで辺境の地下喫茶エンゼルへ
喫茶エンゼルがあるのは、県道216号線の田辺市上万呂(かみまろ)交差点のそば。
周囲にあるのは梅畑です。
紀伊田辺駅から3.4キロ離れていますが、喫茶ビートルとは比較にならないくらい急な坂道が続くので徒歩で訪れるのはまず無理。
紀伊田辺駅に隣接する田辺市観光センターで1日500円の電気自転車を貸りて、あとは向かうだけと余裕をかましていたんですが、この日の田辺市は30度を超える夏日。
はじめて乗る電気自転車・急な坂道続き・地図が読めないという三重苦があり、店の前に到着した時には汗だくでヘトヘトでした。
2色の装飾テントが目立つ外観。
店の前をビュンビュンと車が走り抜けていきます。
入り口は階段を降りた先。
期待と不安が半々に混ざった気持ちでドアを開けると、正面に見えたのはヤシの木の壁画。
そして壁二箇所に設置されたステンドグラス。
テーブルの上と金魚が泳ぐ水槽の中にステンドグラスの光が差し込む様を見て、夢を見ているのかなと頬をつねりました。
レンガの仕切りと壁画を見て、同じく紀伊田辺の純喫茶巴里を思い出しました。
どちらかが影響を受けたのか、紀伊田辺でこの内装デザインが流行っていたのかはわかりません。
岡山の水族館喫茶「コーヒールームキャッスル」や、巨大な熱帯魚の絵画がある「フォーミラー」も同じく思い浮かべます。
見慣れない私を見て一瞬訝しむママですが、紀伊田辺の喫茶店を巡っていると話すと、席に腰を下ろしてお話を聞かせてくださいました。
梅ジュースをご馳走になりながら、エンゼルの成り立ちや田辺のことを教わります。
喫茶エンゼルの歴史
エンゼルは創業40年以上。
周囲には食事できるような場所がなかったため席に座る暇もないほど忙しかった時期もあったけど、今現在のお客さんは数人だけ。
「いつやめてもいいくらい」とママは豪快に笑っていました。
南国ムード満載の紀伊田辺にふさわしい「エンゼル」という店名は、エンゼルフィッシュから。
エンゼルという看板を見てまず浮かんだのが、八木重吉の「えんぜるになりたい 花になりたい」という詩だったので天使という意味かなと思ったのですが、エンゼルフィッシュ自体が「天使の魚」と呼ばれているのであながち間違いではないみたい。
昔は水槽の中には熱帯魚もいたそうですが、「自分の世話をするのに精一杯だから」今は金魚だけ。
幻想的な空間に身を置いていると自分自身が「エンゼル」という水槽の中にいる魚のように思えて、不思議な感覚に陥りました。
喫茶エンゼルに行く上での注意事項
提供できるメニューは、飲み物のみ。
ジュースはオレンジジュースしかありません。朝はトーストをサービスしてもらえる場合も。
遠方から訪れる際は電話確認がベター。宣伝することを許可してもらったので、ブログで見たと伝えたら話が早いかも。
南国感と別世界感は紀伊田辺一だと断言するので、チャンスがあればぜひ足を運んでくださいね。
喫茶エンゼル・店舗情報
【最寄駅】JR紀伊田辺駅より自転車で約20分
【住所】和歌山県田辺市上万呂353-2
【電話番号】0739-24-4569
【営業時間】7時〜16時
【定休日】日
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