イケフェス大阪2019では「継承される建築文化〜百貨店特集〜」として百貨店の特別公開や特別見学会がプログラムされていました。
そのうちのひとつが、2019年9月20日にリニューアルオープンした大丸心斎橋店本館の夜間特別見学会「よる・だいまる」。
応募して当選する必要がある定員30名のプログラムですが、くじ運はいい方なので見事に当選。
(あとで倍率14.2という人気プログラムだったことが判明しました)
今回はヴォーリズ建築の大丸心斎橋店本館をご案内します。
ヴォーリズ建築「大丸心斎橋店本館」の歴史とリニューアル内容
旧称:大丸百貨店大阪店
建設年:1922年〜33年
構造・規模:地上11階、塔屋1階、地下3階(建て替え後)
設 計:ヴォーリズ設計事務所(建て替えの設計施工は竹中工務店)
「百貨店建築の名作」と呼ばれる大丸心斎橋店旧本館は、米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作。
商都大阪を象徴する老舗の百貨店ですが、耐震性の問題で2015年末に閉館して建て替えされることに。
大丸心斎橋店の建て替えにあたって、順守されたのは以下の2点。
- 御堂筋側の外壁を保存し、再利用すること
- 意匠的評価の高い1階内装部分を中心に、内装も可能な限り再利用すること
その結果として今回の建て替えで保存された外壁は約4000㎡、再利用された内装パーツは849点にものぼるそうです。
劣化が激しいものは型取りするなどして復原されています。
大丸の象徴として親しまれた「孔雀のレリーフ」は再利用されたパーツのひとつで、心斎橋筋側の玄関に復活しています。
最新の技術を駆使したエレベーターホール
今回見学した中で私が一番驚いたのが、1階のエレベーターホールでした。
ゴシックスタイルの尖頭アーチ、透かし彫りの装飾、六角形の時計があるステンドグラスなど手の込んだデザインだったエレベーターホール。
素人目では閉館前となにひとつ変わっていないように見えるんですが、昭和8年当時のアール・デコ様式のデザインを最新の技術を駆使して極限まで磨き上げ蘇らせたそうです。
イケフェス大阪2019の夜間特別見学会「よる・だいまる」の感想
今回の夜間特別見学会は営業終了後の本館館内を広報の方に案内してもらうという内容でした。
誰でも入ることのできる百貨店なのでいつでも見学できるんですが、お客さんがいない館内を存分に見学できる機会なんてそうそうないので、五感をフル稼働して空間を堪能しました。
惜しむらくは午前中に繊維輸出会館の見学があり、「よる・だいまる」に参加するまでの時間が空きすぎてしまったこと。
イケフェスのプログラムは17時頃には終わるので、参加開始時間の19時半まで暇をつぶすことに疲れました……。
疲れが写真に出てしまっていますが、自分の記録も兼ねて残しておくことにします。
大丸心斎橋店本館・店舗情報
【最寄駅】大阪メトロ心斎橋駅よりすぐ
【住所】大阪市中央区心斎橋筋1-7-1
【営業時間】(本館)10時~20時半
【定休日】元日