昔ながらの古い町並みが残る奈良駅前。
お寺の裏や脇道で創業半世紀を超える喫茶店を発見してもおかしくなさそうですが、奈良駅周辺は古民家カフェが優勢で昔ながらの喫茶店は絶滅寸前です……。
2011年に奈良の喫茶店文化のルーツである「可否茶座アカダマ」が閉店したことも影響しているんでしょうか。
西大寺にあった珈琲館 煦露粉(クロコ)が奈良駅前でcafe CROCOとして再スタートするという嬉しいニュースはありましたが、奈良の喫茶店は風前の灯……。
そこで今日は奈良駅が最寄りの貴重な喫茶店を2軒ご案内します。
クラシックが流れる近鉄奈良駅前の珈琲屋エルムンド
初訪問:2015年
観光客が多く行き交う近鉄奈良駅前の古書店2階にある「珈琲屋エルムンド」。
「47都道府県の純喫茶」に奈良県代表として紹介されるなど、奈良のクラシック喫茶としては知られた存在です。
取材時以外にも筆者の山之内さんは何度も訪れたと上品なマダムが仰っていました。
1974年創業。
「エルムンド」はスペイン語で「世界」という意味。
天井から釣り下がるステンドグラスのランプや、壁面を飾る10点ほどの絵画はこの小さな世界のためにマダムが海外で買い付けたもの。
こだわりのオーディオで流れるのはクラシック。
マダムが好きだというオペラを聴いていると、数段飛ばしで大人の階段を上っているような錯覚を覚えました。
珈琲屋エルムンドのメニュー
コーヒー専門店のため、ブレンドコーヒー、ストレートコーヒー、アレンジコーヒーとコーヒーだけで種類は20以上。ノンカフェインの紅茶やジュース、トーストもあります。
珈琲屋エルムンド・店舗情報
【最寄駅】近鉄奈良駅より徒歩1分
【住所】奈良市東向北町8-4
【営業時間】10時半〜18時半
【定休日】月
【公式HP】https://cafe-4498.business.site/
純喫茶として古い歴史のある珈琲と果汁スギ(喫茶スギ)
初訪問:2015年
今も営業中の奈良市内で一番古い純喫茶は、昭和31年(1956年)に置屋から喫茶店に鞍替えした「かふぇたまき」といわれています。
ただし「かふぇたまき」は築100年以上の建物を使っていてお酒も出しているので、喫茶店というより居酒屋の雰囲気なんですよね……。
純粋に喫茶店として一番古いのは昭和37年(1962年)創業の青テントと青タイルが目立つ「珈琲と果汁 スギ」ではないでしょうか。
近鉄奈良駅から少し離れているJR奈良駅の近く、ゲストハウスの多いエリアで旅行客に重宝されている喫茶店です。
果汁というのはジュースのこと。
奈良の喫茶店では果汁という表記をまれに目にします。
カウンター席と4人席が2つと、マスターがお一人でやるにはふさわしいちょうどいい広さの店内。
メニューに松花堂弁当とありますが、マスターの体調が良くないため今はやっていません。
モーニングのセットはないため、単品でミックスジュースとオープンサンド(650円)をいただきました。
薄焼き卵を乗せたオープンサンドが洒落てますね。
奈良市内で喫茶店文化を伝えてくれる貴重な店なので、興味のある方は早めに訪問してほしいです。
珈琲と果汁スギ(喫茶スギ)店舗情報
【最寄駅】JR奈良駅より徒歩2分
【住所】奈良市杉ヶ町37
【営業時間】7時〜14時
【定休日】不定休
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