こんにちは、純喫茶保存協会のコトリス(@Kotori_fresh)です。
富山の「高岡邪宗門」の記事で、オーナーの名和さんが「邪宗門は日本最後のシャンソン喫茶のつもり」と仰っていたという話を書きました。
ジャズ喫茶以外の音楽喫茶で思い出したのが大阪市阿倍野区にある「チケ」というタンゴ喫茶です。
大阪の喫茶店好きの方にぜひ手に入れていただきたいカラーブックスの名著、キダ・タローの「コーヒーの店ー大阪ー」で「チケ」が紹介されていたので、まだ店があるのか確かめに向かったのは2014年11月のことでした。
タンゴファンが集まる阿倍野区西田辺「チケ」へ
最寄りは大阪メトロ御堂筋線の西田辺駅。
東住吉の記事で紹介した大阪メトロ「田辺駅」やJR阪和線「南田辺」駅からも徒歩で行けます。
ひっそりと佇む隠れ家風の店構え。
上部には「コーヒー専門店 チケ」と看板が。
営業中という札を確認していざ扉を開けると、落ち着いた色合いの空間が目に飛び込みました。
現在店を切り盛りするのは「チケ」を創業したオーナーの一人娘、顕子さん。
キダ・タローの本を見て来た事を告げると、驚きつつも歓迎してくださいました。
コーヒー専門店チケの歴史
昭和34年(1959年)創業のチケは2023年現在でなんと64年目。
レコードやオーディオが高価だった頃、ジャズ喫茶や名曲喫茶は新しい音を求めて人々が集う音楽室のような存在でもありました。
タンゴというとピアソラと小松亮太しか知りませんが、日本でもかつては一世を風靡した音楽ジャンルなのだとか。
名曲喫茶のようにレコードでタンゴをかけてくれる
「チケ」という店名はリカルド・ルイス・ブリニョーロが1919年に発表したタンゴの古典的名曲“Chique”から。
当時の流行語で「粋がった」「見かけ倒し」という意味だそう。
顕子さんがかけてくれたタンゴのレコードが、コーヒーを飲むひとときを特別なものにしてくれました。
2500円の「クレオール」はチケの独特なコーヒー
ご注意いただきたいのは、チケのコーヒーメニューは全体的に値段が高いこと。
一番安価なブレンドは600円ですが、コーヒー一杯800円〜1000円くらいします。
中根光敬の「珈琲飲み」という本の中に、チケの「クレオール」という2500円のコーヒーについての記述がありました。
大阪・西田辺にあるチケという珈琲屋は、自家焙煎店ではないが「クレオール」という独特なメニューを珈琲に置いていた。
(中略)
抽出の仕方はもちろんネルドリップだが「二度淹れ」という特殊な抽出法で、抽出した珈琲を新しい珈琲粉でもう一度ドリップする。するとすこぶる濃厚なのに、信じられないほど口当たりのマイルドな珈琲=クレオールが出来上がる。
「珈琲飲み」P319より引用
コーヒー専門店 チケ・店舗情報
【最寄駅】大阪メトロ御堂筋線「西田辺駅」より徒歩1分
【住所】大阪市阿倍野区長池町21−14
【営業時間】10時半~18時頃
【定休日】土日祝
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