2003年に発行された本「神戸カフェ物語」に『長田区的日常』という項目があり、そこには「神戸市内で喫茶店が最も日常的に利用されているのは長田区」と書かれていました。
以下は要約。
タウンページに掲載してある喫茶店の数を数え各地の人口を割ってみると、中央区、兵庫区、長田区の順に多い。
中央区は別格として、兵庫区にも「西の浅草」と呼ばれた新開地があるため、数の多さには説明をつけられる。
となると、特に目立った繁華街もなく、住宅と工場、阪神・淡路大震災後の更地がモザイクのように織り成されている長田区に喫茶店が多いことこそ、真に驚くべきことである。
本日ご紹介するのは、喫茶店を下町コミュニティとして利用している住民が多い神戸市長田区の喫茶店「ぱるふあん」です。
神戸高速鉄道「高速長田駅」下車すぐ。すべてが丸い喫茶店、ぱるふあん
新開地駅から2つ目の神戸高速長田駅を降りてすぐの場所にヴィーナス誕生のほたて貝のような真っ白な壁に扉が設置された喫茶店があります。
控えめにUCCコーヒーのロゴが入った「OPEN」の札がかかっているので、かろうじて喫茶店とわかるのですが、入りにくいなぁ……。
外にある看板も丸い……。
コーヒー、紅茶、サンドイッチのほかピラフもあります。
思い切って扉を開けてみると……
なんということでしょう!
ドーム状の空間に惑星のような丸い照明が目に入りました。
目をぱちくりさせる私を見て、マスターはなんだか得意げ。
「なんでも聞いて」と優しく仰っていただいたので、コーヒーを飲みながら店の歴史を伺いました。
ぱるふあんの歴史
創業は昭和51年(1976年)。
「ぱるふあん」※という不思議な店名は、店のオーナーであるマスターの名字が「香川」さんであることから、“香”とフランス語の香水を合わせたもの。
※Googleマップでは「ぱるふぁん」と表記されていますが、「ぱるふあん」が正式名称
どこを見ても絵になるスタイリッシュな空間を設計したのは建築家の天藤久雄氏。
神戸の景観ポイント賞を受賞した北野クラブ・ソラも彼の作品です。
神戸市長田区は1995年におきた阪神・淡路大震災で被害の大きかった地域。
震災から24年が経過した現在も兵庫県内で唯一、復興再開発事業が続いています。(※2020年1月現在、25年を経てようやく終わるそうです)
閉店してしまった喫茶店が多い中、ぱるふあんは創業当時の姿を保ちながら地域の居間や応接間としての役割を担っていました。
新オーナーに引き継がれました
ぱるふあんは店主引退のため8月20日をもって閉店したものの、新しいオーナーに引き継がれ、2021年9月にリニューアルオープンしました。
ぱるふあん(ぱるふぁん)・店舗情報
【最寄駅】神戸高速鉄道「高速長田」駅 下車すぐ
【住所】神戸市長田区北町2-63
【営業時間】10時〜18時(L.O17時)、土日祝:9時〜18時(L.O17時)
【定休日】月
▼震災時の話が聞ける喫茶店と教会
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