

秋田旅行2軒目にして最後の喫茶店は秋田県立美術館の近隣にある「葡蘭馳(ブランチ)」。当て字がかっこいい。
2015年12月発行「北東北エリアマガジン rakra」に掲載されていた秋田市の喫茶店「ブルボン すずらん通り店」「和蘭豆」はすでに閉業。
秋田駅近辺しか散策できなかったけど、同じ北東北で行ったことのある青森市、弘前市、盛岡市と比べて圧倒的に人が少なかった。
今年7月のニュースによると、東北6県で初めて秋田県の人口が90万人を下回ったらしい。秋田市以外にも行ってみたかったが、公共交通機関だけの移動は不便で断念した。
創業約半世紀。秋田市中通にある喫茶店「葡蘭馳」


赤れんが郷土館、ねぶり流し館などを見学するベタな観光の最後に葡蘭馳(ブランチ)へ。創業は昭和51(1976)年。迎えてくださったのは店主と思われるおかみさんとパートさんらしき店員さん計3名。

クリームあんみつとフルーツパフェを注文。
クリームあんみつはあんこ、寒天、白蜜すべて自家製。フルーツパフェは旬の果物を使っているから、季節ごとに異なるらしい。


アイドルタイムで他にお客さんがいなかったので、店内を見学させてもらう。美術館が近くにあるからなのか店主の趣味なのか、店内には数多くの絵画が飾られていた。

目に留まったのは秋田県にかほ市出身の池田修三の木版画「緑陰」。
以前伊丹の珈琲館円で池田修三の木版画が飾られているのを見て感激したことがあったが、修三さんの地元の喫茶店で木版画に出合えるとは。
店主によると「昔来たお客さんが、飲食代金を払えなくて代わりに木版画を持ってきた」らしい。昔話に出てきそうなエピソード。
「池田修三の木版画が飾られた喫茶店」といえば、悲しい思い出がある。
珈琲館円とは別の喫茶店で池田修三の木版画が飾られてあるのを見たことがある。珈琲館円より先に行ったか後に行ったかは記憶にない。こぢんまりした喫茶店でお客さんは誰もいなかった。
池田修三の木版画を目にした私は店主に対して「本物の木版画ですか?」と聞いたら冷ややかな口調で「木版画に本物も偽物もないだろう」と返ってきた。虫の居所が悪かったのだろうか。
そのときに、「いつか秋田で池田修三の木版画を見たい」という話をしたような気がする。2013年に大阪で開催された作品展「池田修三展 センチメンタルの青い旗」を見ていたから。
今塩対応をされたら「そういう人もある」と割り切れるのだけど、当時はただただショックで(メンタルが弱っていたこともあり)泣きながら喫茶店を後にしたのでした。
その体験があったから初心者に向けて入りやすい、優しい店主のいる喫茶店情報を発信しようとブログを始めたんだった。

このぶログが役に立っているかどうかはわからないけど、きっかけを思い出させてくれた葡蘭馳さんにありがとう。
葡蘭馳(ブランチ)・店舗情報
【最寄駅】秋田駅より徒歩約10分
【住所】秋田県秋田市中通2丁目1-22
【営業時間】11時〜16時
【定休日】日・月
東京、関西、名古屋にある喫茶店を紹介するムック本「すごい喫茶店・カフェ100」(11月25日発売)の関西編を私が監修しております。
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本をお供に喫茶店に足を運んでいただけたら嬉しいです。