【東須磨・バロン】創業半世紀超。2代目マスターが継業した喫茶店

現在の純喫茶ブームの華やかさとは離れたところで、さりげなくマイペースに存在している喫茶店「バロン」をご紹介します。

バロンは2021年9月に閉店しましたが、後継者が見つかり2023年春に再オープンしました。

※2023年4月にグランドオープンした「バロン」については目次2からご覧ください

東須磨で創業半世紀超。脱サラしたマスターが営むコーヒーの店 バロン

目的地、バロンの最寄りは山陽電車東須磨駅。
花の名所であり市内屈指の紅葉スポットでもある神戸市立須磨離宮公園もほど近いエリアです。

東須磨駅から須磨体育館・須磨区民センター方面に向かって歩くと、5分ほどでバロンに到着。

阪神タイガースカラーの帽子（？）を被ったような電飾看板が目印

黒と薄茶を基調としたシックな店内にパーテーション代わりの観葉植物が映える

扉を開けると、マスターが「いらっしゃい。今日はええ天気やな」と緊張が解ける豪快な笑顔で迎えてくれました。

喫茶店好きの友人（しか丸さん）の推薦でバロンを知り北摂から来たことを告げると、ガハハと一笑いして「最近は、マッチはありますか？って来るお客さんが多いわ」とマッチを差し出してくれました。

マスターがデザインしたマッチ

程なくしてゆっくりとした動きのママさんが登場。

「お母ちゃん腰が曲がってしまったから、ぼちぼち閉めようと思ってるねん」というマスターに、「居場所がなくなると困る常連さんが多いんじゃないですか」と言うと、「半世紀も居場所を提供してきたからなぁ。今が辞めどきちゃうか」とさっぱりした言葉が返ってきました。

バロンは創業52年。界隈では最も古い喫茶店です。

現在板宿にある須磨区役所ですが、以前はバロンのすぐそばにあったため区役所の人がよく利用していたんだとか。

山のように喫茶店はあったけど、現在も続いているのはバロンとにんじんのみだそう。

マスターはもともとサラリーマン。

ママさんが他の方とバロンを切り盛りしていたんですが、区役所からの注文が殺到したことで脱サラを決意。

「おかもちの代わりにトランクを持って配達する姿が珍しいと神戸新聞にも取り上げられたんやで」と、最近のことのように話してくれました。

4月にグランドオープンした新生バロンへ

色と形がそのままの装飾テントと再会

壁の配色がおしゃれ

再開のご連絡をいただいたものの、なかなか足を運べなかった新生バロンにようやく行ってきました。

バロンを引き継いだのは、かつてはお堅い仕事をしていたというロマンスグレーなマスターと、元気溌剌でお話上手なママさんご夫妻。

調度品も荷物もそのままの形で売りに出されていたバロンを継業しました。
店名もそのまま引き継いでくれたのが、かつてのバロンファンとしては嬉しい限り。

「前マスター時代からの常連さんも引き継げたのが嬉しい」とママさんがお話されていたのが心に残りました。

前マスターも毎日のように来店するそうです。新生バロンにぜひお立ち寄りください。

モーニングメニュー

モーニングは8時から11時までですが、11時からのサンドウィッチセットもハーフサイズは600円です

折り目正しいサンドウィッチ

マスターは学生の頃、三宮にあったサンドイッチ専門店で働いていたそう

バロン・初代マスターのインタビュー

note（ノート）

喫茶店の人 #8 【喫茶バロン】 井上省一さん｜コトリス｜喫茶店の架け橋ライター

https://note.com/kotorisu/n/n6ca3f307f184

神戸市須磨区東須磨のバロンは井上省一さんと道子さんが夫婦で切り盛りする喫茶店だった。 私がはじめてバロンを訪れたのは、2020年10月。 当時80歳だった道子さんが亡くなったのは、それから間もなくのこと。 バロンを後にする際に、道子さんの後ろ姿を何気なく写真に収めた。 それが最後になるとも知らずに。 井上省一さん バロンのマスター、井上省一さん（85歳）は兵庫県たつの市生まれ。小学1年生で終戦を迎える。 中学を卒業後、神戸市長田区のおばさん夫婦の家に養子に出された。 「うちは7人兄弟で、おばさんのとこは子...

喫茶バロン・店舗情報

【最寄駅】山陽電車東須磨駅より徒歩約5分、JR神戸線鷹取駅より徒歩約10分
【住所】神戸市須磨区中島町3丁目3-15
【営業時間】8時〜17時
【定休日】日・月・祝
※全席禁煙