兵庫県伊丹市の“集”(つどい)は2014年に路線バスで尼崎の喫茶店に向かう道中に見つけた喫茶店だった。
ぼんやりと車窓から風景を眺めていたときに、蔦が絡まるレンガ造りの外観を目にし慌てて停車ボタンを押したことを覚えている。
伊丹市の「喫茶・軽食 集」は植物園と美術館を合わせたような喫茶店
創業は約40年前。
島根の田舎育ちだから植物がないと落ち着かないというマダムの好みで、店内はさながら植物園のように花と緑に溢れている。
飾られたアート作品はすべてマダムの手作り。
独学で手掛けてきた作品を収蔵した個人美術館かと勘違いしてしまう。
創作意欲が湧き、ここ10年くらいに作品数が増えたと教えてくれた。
3月に芦屋市で兵庫県内の喫茶店に特化した写真展「兵庫の喫茶展」を開催したときに、展示したかった写真の一枚が“集”の店内写真だった。
展示した多くの写真はすでに閉店済の喫茶店だったから許可の取りようがないのだけど、“集”は現役の喫茶店だったから念のため展示の許可を取りに行った。
承認をもらったほうが展示を見に来てくれたお客さんに“集”をおすすめしやすい。
アートに理解のあるマダムだから承諾してくれるはずという目論見通り、あっさりとOKを貰い展示の運びとなった。
あわよくば展示を見に来てくれるかもしれないという下心でDMを渡したが、わざわざ展示会場も足を運んでくれた。
“集”には数年の一度のペースで通っていたが、店の人と顔見知りと言える関係になったのは「兵庫の喫茶展」がきっかけだ。
「すごい・喫茶店100」の関西編にセレクト
11月25日に発売されるムック本「すごい・喫茶店100」の監修者のオファーがあったとき、候補として真っ先に浮かんだのが“集”だった。
監修者としてセレクトした喫茶店の大半はすでにメディアに取り上げられている店だ。
かつて私が書籍をお供に喫茶店めぐりをしたときのように、道標になる本になっていると思うが、“すごい喫茶店”という縛りがあるから載せられなかった店も多い。
せっかく私が監修するのだからあまり知られていない喫茶店も載せたかった。
“集”は「忙しくなるのが嫌だから」という理由でテレビなどメディアの取材は断ってきたと聞いていたし、客層が変わってしまうのが嫌でブログにもSNSにも取り上げていなかったが、幸い掲載許可を貰えた。
どんな内容になっているかは「すごい・喫茶店100」を読んでください。
そして、ぜひ本を持って“集”を訪問してほしい。
金沢のローレンス、神戸元町の舌れ梵(現・自鳴琴)とともに、植物・芸術への愛を感じられる喫茶店だ。
喫茶軽食 集(つどい)・店舗情報
【最寄駅】阪急新伊丹駅、JR猪名寺より徒歩約10分
【住所】兵庫県伊丹市南町2-3-3
【営業時間】8時~17時
【定休日】日・祝
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