11月半ば、のぞみ→みどり(特急)を乗り継いではじめて佐賀駅に降り立った。
初訪問の土地に行く際はいつも心が浮き立つはずなのに、気が滅入る出来事が続いており新幹線の中で泣いていた。
旅のお供に持ってきた本は小坂章子さんの「九州喫茶案内」。
2020年に熊本と鹿児島旅行をする機会があり掲載店にも訪れたが、本の発売前だったのでこの本を持って喫茶店めぐりをするのははじめて。
弱っているときは、雰囲気が良く優しい店員さんのいる喫茶店で過ごしたい。
本に載っていた「覇薇可否道(はらコーヒーどう)」を目指すことにした。
佐賀市郊外の覇薇可否道でコーヒーとたまごサンドを味わう
佐賀駅から少し距離があるのでバスに乗り、覇薇可否道(はらコーヒーどう)に到着。
客層はマダムのペア客と女性の一人客が多く、すんなりと馴染めた。
BGMはクラシック。客席それぞれにルーレット式おみくじ器が置いてあるのも良い。
焼きたまごサンドセットのハーフサイズ(950円)を注文。
九州独自(?)のコーヒー文化だと思うのが、器に入ったホイップクリームがミルクの代わりに付いてくること。
はじめて体験したのが小倉の「ドン珈琲店」だったが、ヨーグルトかと思ってそのまま口に入れてしまった。
覇薇可否道でホイップクリームを見て、そのときの記憶が蘇った。
店を出る際に、カウンター内にあるステンドグラスの写真を撮っていいかを訪ねたら快く応じてくださった。
ずっとこの店に通う常連だというマダムに話しかけられ、佐賀のおすすめスポットを教えてもらった。優しい店はお客さんまで優しい。知らない人の明るさや優しさに救われる。
道中はメソメソしていたのに、喫茶店の中ではネガティブなことは考えなかった。
温泉浴ならぬ、喫茶店欲。
肩の荷をおろせる居場所に身を置き、珈琲を相手に心身のバランスを微調整する。
私にとってはカウンセリングに通うようなものかもしれない。
その時の症状によって店を選び、処方箋代わりの一杯と引き換えに安寧を得る。
大袈裟ではなく、救いなのだ、喫茶店という存在は。引用:「九州喫茶案内」のあとがき
福岡に親戚が営む覇薇可否道の本店があるらしい。そちらもいつか行ってみたい。
覇薇可否道(はらコーヒーどう)・店舗情報
【最寄駅】JR佐賀駅よりバスで約15分
【住所】佐賀市北川副町光法1680-5
【営業時間】11時~21時(月・火〜17時)
【定休日】不定休
※全席禁煙
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