大阪から直行バスで3時間。周囲を山に囲まれた岡山県津山市にある“知られざる国宝級建築”津山文化センターを見学に訪れました。
当記事では津山文化センターの館内を写真満載でご紹介しています。
「現代の城」として設計された津山文化センター
開館:1966年1月
改修開館:2020年4月
規模:地下1階 地上3階
構造:鉄筋コンクリート造り、一部鉄骨造り
建築面積:2,832平方メートル
床面積:4,677平方メートル
設計:川島甲士(かわしまこうし 1925〜2009)
構造設計:木村俊彦
グラフィックデザイナー:粟津潔
陶芸家:白石齊(ひとし)
津山城跡の傍らに建つ「津山文化センター」。
市民からの寄付により建てられた、文化の向上・振興・市民のコミュニケーションの拠点です。
「国宝級建築」と言われる所以は日本建築とモダニズム建築が融合した外観。軒を「斗栱(ときょう) ※」モチーフのコンクリートの支柱が支えています。
竣工した1965年頃の日本の建築界は、丹下健三による「国立代々木競技場」など、欧米から導入した技術を発展させ始めていた時期。
設計者の川島甲士は「日本独自の様式を近代的な素材と技術で再構成すること」に強いこだわりがありました。
構造設計の木村俊彦は、西洋の形を真似するのではなく日本の伝統的な形を元にして、それを当時の最先端の技術で作ろうとしました。
そして出来たのが、逆台形型の寺院建築のような建物。鉄筋コンクリートの建物に伝統的なデザインを取り入れることで、市民が訪れやすい建築を目指しました。
まちの歴史を象徴する津山城の傍に建つ建築物は古来の城に対して「現代の城」を設計する。石垣の圧倒的量感となだらかな曲線に対応させ、しかも市民のシンボルとして強く印象付けられること。
引用:川島甲士による津山文化センター設計テーマ
津山文化センター館内を見学
職員さんに案内してもらい、館内を見学しました。津山文化センターは2018年春から2年間休館し耐震補強とバリアフリーの大規模改修を実施してます。
岡山観光webに掲載されているレトロフューチャーな螺旋階段は無くなりました。
別塔
西側ホワイエ
館内は1003席ある大ホールを中心に置き、周囲にホワイエ、回廊、会議室、管理部門を配しています。
南側ホワイエ
3階
内側から斗栱が見られる場所もあります。
大ホール
改修後、大ホール客席は1階中央ブロックを千鳥配置に。桜の花びらモチーフの座席は座席幅を広げ座り心地を良くしています。
ホールの大きくうねる壁面はHPシェル構造。改修前はホール中央にシャンデリアがありましたが、外されていました。音響設備は反響板を新しくし、機器はデジタル対応に更新されています。
まとめ
職員さんに聞いて驚いたのは、設計者の川島甲士は国立京都国際会館のコンペに「津山文化センター」に似た逆台形型の建築を提案していたという話。京都に軒のあるコンクリート建築が建っているのを想像しながら津山文化センターを後にしました。
内部見学は事前に連絡が必要です。わざわざ見に行く価値がある建築なので、訪ねてみてください。
津山文化センター・施設情報
【所在地】岡山県津山市山下68
【アクセス】JR津山駅から1.5km
【開館時間】9時~17時
【休館日】木
【公式サイト】http://www.t-arts.or.jp/culturecenter.html